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ぴ~ち・でぃず~ヒミツノカンケイ~ *R18


132.弱い心の卑怯な気持ち

2010.10.20  *Edit 

「んん……はぁ、あ、ぁあっ」

薄暗い部屋の中、それでも闇に慣れた目は、彼女の姿をはっきりと彼の目に映していた。
細い体をしならせ、自分の上でゆっくりとした動きを繰り返す桃佳。いつもは恥ずかしがって見せたがらない体さえも、今日は曝け出している。
自分のしていることが余程羞恥を煽るのか、薄闇の中でさえ、耳まで真っ赤に染まっていることが分かる。

「……ひゃっ、あう、んぁっ!」

恥ずかしそうに動く桃佳を下から突けば、焦ったような喘ぎ声が漏れる。背を弓なりにさせ、そのせいで突き出された状態になった胸の先端を指先でつまめば、一層高い声が漏れた。


孝幸が帰った後、ふたりで夕食を食べ、暫くしてから布団に入った。
孝幸から駿の名前が出たことで、桃佳はきっと『そんな気』にならないだろうと、多希は華奢な体を抱きしめて寝るだけにしようと自分に言い聞かせていた。体が繋がる前は何とか耐えられた欲情も、一度彼女の熱を知ってしまってからは、相当な我慢と忍耐をもってしてでないと抑えられそうもない。
けれど、そんな苦労をしている多希とは反対に、桃佳の方が潤んだ瞳で多希を見つめてきたのだ。
自ら服を脱ぎ、多希の服も奪い去って。薄闇の中で発光するかのように真っ赤になりながら、多希の肌に舌を這わせて彼自身をその唇で刺激し。そして、多希の上に自ら跨ると彼を自身のナカへと導いたのだった。

「はぁ……っ、あ、んんっ」

桃佳の与えるゆっくりとした動きは、お互いに繋がりあった部分から、その存在をより明確に伝えてくるようだ。
ゆるゆるとした動きと共に、温かな柔らかさに呑み込まれ、多希は思わず秀麗な眉を歪める。
どこか様子のおかしい桃佳を受け止める気でいたのに、そんな余裕さえももう今は風前の灯だ。桃佳の熱に頭の中を掻き回されているかのように、熱く、何も考えられなくなってしまう。
「モモ……っ!」
呻くようにその名を呟いて、自分の上に跨っていた桃佳を組み敷く。両足を持ち上げ、熱く蕩けたナカの一番深い所に打ち付けた。
「ひゃ……っ! あ、あ、ああっん!」
いきなり与えられた刺激に、桃佳は手の甲を口元に押し付けて声を塞ごうとする。それでも漏れだす甘く切ない嬌声。
誰にもそんな声を聞かせたくなくて、多希は深く口づけてその甘い声さえも奪い取った。この声さえも自分のものだという、独占欲。
漏れだす甘い声を紡がせることができるのは、自分だけなのだという、幸福感。
そんな気持ちは、あっという間に多希を限界に導いてしまう。

「……っひゃ……っ!!」

仰け反る白い首筋に顔をうずめ、多希は一際大きな動きで桃佳の体を揺らした。お互いに快感の余韻に体を震わせる。多希は桃佳の首筋に顔を埋めたままで、その体に腕をまわして抱きしめる。
少しだけ汗ばんだ体。けれど、不快感は感じない。それどころか、ずっとこのままでいたいと思ってしまうほどに心地いい。
抱き寄せられた桃佳は、同じように多希の体に腕をまわして、自分の方に引き寄せる。これ以上、近寄りようもないような状態なのに、更に隙間なく自分の体を密着させようとする。その様子に、やはり多希は違和感を感じずにはいられない。
本当は桃佳が駿に会わないと言ってくれて安心したはずなのに、これではいけないと、頭の片隅からそんな思いが消えないのだ。多希は大きくため息をつくと、苦笑した。桃佳のためならば、自分が望まないことさえ口にしようとしている自分がおかしい。

「モモ……」
「はい?」
少しだけ困ったような顔で微笑んでいる多希の顔を、桃佳は不思議そうに見上げた。
「あの、さ。本当は、駿と会いたいって思ってるんじゃない?」
多希の言葉に、桃佳は大きな瞳をゆっくりと二回瞬かせた。
「会いたいんだろ?」
大きな瞳が今度は細められる。酷く悲しそうな表情が顔中に広がった。
「モモ?」

多希の真剣な瞳が胸に刺さって、桃佳は喉元が熱くて堪らなかった。鼻の奥もつんとする。油断すると泣きだしてしまいそうなのが自分でもわかって、けれど自分には泣く資格さえないと、ぐっと堪える。
唇をかみしめた時に、再び頭を多希の胸に引き寄せられて、ほっとしたような苦しいような、そんな混乱した思いが胸を占めた。

「モモ。モモが駿に会いたいって思うんだったら、そうしてもいいよ」

どんな気持ちでこの言葉を口にしているのか、ぴたりと多希の胸に顔を埋めている桃佳にはその表情は見えない。それでも、多希の言葉には言いようもない苦さが混じっている気がした。

「会いませんよ…… 会えません」
呟くように言った桃佳の顔を、多希は覗きこんだ。
「どうして?」
じっと見つめられ、桃佳は思わず多希から目を逸らした。
本当は桃佳だって駿に会って謝りたいのだ。今までのこと、多希とのこと、傷つけてしまったこと全て。ごめんなさいと、本当にごめんなさいと自分の口で。けれど、それは果たして駿にとっていいことなのか、もう桃佳には分からないのだった。
「モモ?」
「……だって、会いたいのは……謝りたいのは私だけの気持ちです。駿ちゃんは、私には会いたくないんだとと思います。だから、あの日も家にはいなかった」
そう言って、桃佳は身を硬くする。その事に気が付いた多希は、黙って彼女を引き寄せた。
「私が、一方的に自分の気持ちを押しつけて、あの日会いに行こうとなんかしなかったら、美佐子さんだって……あんなこと、しなくても済んだはずなんです」
そこで言葉を区切ると、桃佳は大きく息を吸い込んで再び口を開いた。言いにくそうに、その言葉は消え入りそうなほどに小さい。
「それに、謝りたいっていうのも、私の勝手な思いなのかもしれません。謝って、楽になりたいって…… あわよくば、許してもらえたらって。結局、自分が楽になりたいんです。でも、駿ちゃんは、私に会うことさえ望んでいないのかもしれない。また、私が自分の気持ちだけで突っ走ったら、周りまで巻き込んで、もっと駿ちゃんのこと、傷つけるかもしれないんです……だから」

その言葉で、やっと多希は腑に落ちたような気がした。
孝幸の、駿に会ってやって欲しいという願いを頑なに拒否したのも、こんなふうに自分のことを求めて体を開いたのも……
「傷つけるくらいなら、会わない方がいいと?」
多希は桃佳の柔らかな髪を撫でながら、そっと問いかけた。腕の中で桃佳が小さく頷く。
「謝ることも、許されることも諦めて……ただ、俺の側にいることを選んでくれるの?」
再び桃佳が頷く。

だからこそ、自分の存在を刻みつけるように、自ら体を開いたのに違いない。多希には自分の存在を。自らには多希の存在を、しっかりと刻みつけるため。
まるで、駿の存在から逃れようとしているかのように……

そんなことが脳裏に浮かんで、多希は今度は桃佳に気付かれないようにそっと溜息をついた。浮かんだその思いは、きっと外れてはいないだろう。それでも、逃げ場所としてでも、多希は自分が求められることは嫌ではなかった。
確かに逃げ場所としてではなく、求めてほしいという気持ちもないわけではなかったが。

「……本当に、それでいいの?」

その問いには、少しの間を開けて頷く桃佳。
「も……、嫌なんです。傷つけるのも、傷つくのも…… 卑怯だって、言われても」
必死に押し出された声は、微かに震えている。
色々なことがありすぎて、それが自ら招いてしまった結果だとしても、もう、桃佳にはそれを乗り越える力を生み出すことはできなくなってしまっていた。心がすり減って、立ち向かうよりも、逃げることを選んでしまった。
ただ、側にいてくれる多希の手を握りしめて……
その手が離されないことを知っているからこそ、そのぬくもりに逃げ込んでいる。そんな自分の卑怯さも、桃佳は良く知っている。いや、本当は多希の手が離れないという自信もない。だからこそ、自分の熱さを多希に刻みつけようとしたのだから。

「そっか」

本当にこのままでいいとは、多希も思ってはいない。それでも、これ以上桃佳を追い詰めることもしたくはなかった。自分を逃げ場所にしたいのならば、いくらでも逃げ場所になるつもりだ。
例え逃げ込む場所であっても、桃佳にとっての『帰る場所』になれるのならば、それでいいと多希は本気で考えていた。それが桃佳を守ることだと、信じて疑わない。

それ以上はお互い言葉を発することなく、ただ、自分とは別の体温を感じながら目を閉じた。
なかなか、眠りが訪れることはなかったのは、桃佳も多希も同じだった。
求める人が側にいるはずなのに、直接体温を感じて安らかなはずなのに、ぽっかりと開いてしまった何かが心の温度を下げてしまっているような、そんな感覚を桃佳は見ないように目を閉じていた。





何も考えなければ、幸せな二人。
だったらいっそのこと、何も考えなければいい。

だから二人はただ、お互いだけを求めるように数日を過ごした。
そうしていれば幸せだったから。

きっとそんな日々が続くと、信じていた。



逃げ込んでいるだけの幸せだとしても、永く続くと本気で思っていたのかもしれない……






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