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りんどう庵

ぴ~ち・でぃず~ヒミツノカンケイ~ *R18


31.秘め事と隣人

2010.03.24  *Edit 

「ちょ・・・!ま・・・って。駿ちゃんたらぁ!」

さっき抱き合った勢いのままで床に倒されてしまった桃佳は、首筋に何度も落とされるキスに身を捩じらせる。
「待って・・・って、ばあ」
駿は桃佳の唇に軽く触れるようにキスをしてから、体を離す。けれど、桃佳に逃げられないようにその両腕をしっかりつかんで拘束していた。「どうしたの?」少しだけ意地悪な顔で、首を傾げる。
「買い物袋、置きっぱなしだよ。腐っちゃう物とかあったら、冷蔵庫に仕舞わなきゃ!」
押し倒され、両腕を駿によって拘束されてもなお、袋の中の食材を気にする桃佳がおかしくて、駿はぷっと吹き出した。
「清水って面白いよね」再び首筋に落とされるキス。
「な、にが。・・・っ!駿ちゃ、ん。だから袋の中・・・」そのキスに触発されて、桃佳のからだがピクリピクリと反応する。
「駿・・・」なおも何か言おうとする桃佳の唇を、駿の唇が強引に塞ぐ。呼吸もできないような激しいキスに、桃佳の頭はぼんやりとした。
やっと唇を解放した駿は、頬を紅潮させ、半開きの瞳でぼんやりとした視線を投げかけてくる桃佳の頭を撫でる。
「大丈夫。腐るような物入ってないし。それに・・・」そっと手を移動させ、服の上から柔らかなふくらみを撫でる。「今はこっちの方が食べたいから」


いやいやと首を振っても駿は許してくれない。
以前は、桃佳が嫌だと言うことは絶対にしなかった駿なのに、いつごろからだったか、桃佳が嫌がることさえも楽しんでいるようだ。
決して乱暴をするわけではない。いつだって優しい。けれど、その行為はだんだんとエスカレートしていくようだった。そして事実駿は、桃佳を征服することに喜びを覚えていた。
「う・・・ぁあ!」
胸の突起を舐められ、足の間に指を滑り込まされ、桃佳はきつく目を閉じて必死に声を我慢する。
「どうして我慢するの?もっと声聞かせてよ」
そう言いながら、駿は更に桃佳に強い刺激を与え続ける。
「はああぁぁぁ!あ、・・・ん!」
さっき美緒がやって来て、『柴山さんは部屋にいないようだ』と言っていた。だからきっと多希は留守に違いない。けれど、隣に多希が住んでいるこの部屋で、駿との行為が分かってしまうような声を上げることはどうしても躊躇われた。

そうだ。多希さんとのゲームが始まった頃から・・・。

今にも蕩けだしてしまいそうな頭で、桃佳はふとそんなことを思う。
駿の行為がエスカレートし始めた時期。それは多希と出会った頃に他ならない。だからこそ、桃佳は駿の行為を受け入れてきたのだ。
そうでなければ、昼過ぎで完全に明るい部屋の中で、いくら相手が駿だと言っても全てを晒すなんてことはきっと恥ずかしくて耐え切れなかったに違いない。
駿は大事な人だ。けれど、明るいところで全てを晒してセックスするのは、羞恥心の強い桃佳にとっては、決して望ましいことではなかった。
けれど駿の気持ちに応えたい思いと、後はやはり罪悪感から、駿の全てを許して受け入れてしまうのだった。
一方駿は駿で、明るい中で桃佳を抱くこと自体が、とてつもない征服感と、全てを受け入れてもらえていると言う安堵感を感じることができた。体のつながりだけが、全てではないとは思っていても、体が繋がるほどに桃佳といっそう繋がることができるような、そんな気がしているのだ。

「・・・清水、中、あっついわ」
満足げな顔に、少しだけ苦しげな表情を混ぜて、駿が微笑みながら桃佳をかき回す。
ぐいと突き上げられるたびに、我慢していても「ああ」と声が漏れてしまう。
体をひっくり返され、腰を突き出すように抱え込まれる。突き上げるスピードを上げられて、我慢しきれない衝動が高い声になって、細く桃佳の口から何度も漏れた。
ぎし、ぎし、と駿の動きに呼応して家具の軋む音がする。
「あ、ぁあ、あ!!」
「清水、俺、もう!」

ばたん!!

駿が果てるのと同時に、隣の部屋のドアが乱暴に閉められる音がして、ついさっきまで火柱のように熱かった桃佳の体から全ての熱が消えうせた。
背中では荒い息をした駿がぐったりとして、ぴたりとくっついている。その熱を感じながら、桃佳はこつこつと遠ざかっていく足音を聞いていた。
それは紛れもなく、部屋を出て行く多希の足音。
駿が桃佳の体に腕を回して、そのまま二人で床に寝転がる。彼の手が、まだ足りないかのように桃佳の胸をまさぐったが、桃佳は遠ざかっていく足音に集中して、その手の感触を楽しむことはなかった。
一向に何の反応も示さない彼女の体を諦めたかのように、駿は胸を触るのをやめて小さな体をぎゅっと抱く。
「・・・隣、人が入ったんだね」
その言葉に、桃佳の体はびくりと反応した。
駿は自分が発した何気ない一言に、桃佳が過剰に反応を示したので、怪訝な顔でその顔を覗き込む。
「どうかした?」
「ううん」
桃佳は駿から目を逸らすと、胎児のように体を丸める。
「その、聞かれちゃったかな、と思って」
「ああ」桃佳の言葉に、駿も照れくさそうに笑う。「そうだね。聞かれちゃったかも。昼真っから何やってんだ、って思われただろうね」
「うん」
消え入りそうな桃佳の返事を、駿は隣人に『秘め事』がばれてしまったことの恥ずかしさからだと思っていた。正直なところ、駿もそれを考えると恥ずかしい。
「いつかお隣さんに会ったら、昼真っからセックスしてたカップルだ、とかって思われるかもね」
駿は笑ったが、桃佳は少しも笑う気にはなれなかった。
だって、その隣人には月曜日になればまた会うし、その人は駿の兄だし、笑える要素はひとつもないのだから。
それどころか、駿との行為を聞いていた多希が、桃佳に何をするか予想もできなかった。そのことを思うと、桃佳は思わずぶるりと身震いをした。
「あ、もしかして寒いの?風邪引いたら困るし、服着ようか」
桃佳の背中から、温かい駿の存在が消えて、彼女は再び身震いをする。のろのろとした動きで、脱ぎ散らかした衣服をかき集めると、それを身に着けていく。
行為の後、こうして服を身に着けているとき、桃佳は何となくどうしようもない虚しさを覚えてしまうのだった。



「さあ、今日は俺が特製のパスタを作るから」
駿は張り切って腕まくりをした。
「本当に大丈夫なの?」
心配そうな視線を送る桃佳に、駿はわざとらしく眉をひそめる。
「俺だって、パスタくらいはできるよ。・・・まあ、パスタってよりはスパゲティーかな。ケチャップ入れるだけだから。まあ、心配しないで待っててよ」
そんなことを言いながら、危なげな手つきでピーマンを切りはじめる。あまりに危なげなその手つきは、子供番組で小さな子供が料理しているよりもずっとひどい。
「わああ!駿ちゃん、気をつけて!!」
「う、わ!!」
言ったときには、既に駿の左手の人差し指に一本の筋ができ、そこから血が流れ出していた。
お互いに顔を見合わせ、どちらともなくぷっと吹き出す。
「ほら、それじゃあ無理だよ。絆創膏貼ってあげるから、こっち来て」
駿の痛々しい指に絆創膏を貼る。傷はそれほど深くはない様だ。
「ありがとう」駿が照れくさそうに笑って桃佳を見る。
「うん」桃佳も笑顔で答える。
温かい空気。桃佳は駿といるときのこの温かな空気が大好きだった。体を合わせているのも嫌いではなかったけれど、こうして二人で穏やかな空気に包まれているときが、何よりも好きだと思った。
「さあ、これからは二人で分担しよう?」
「そうだね」
立ち上がると、二人でそろってキッチンに立って夕食作りを始めた。
ゆっくりと、話をしながら作業を進める。笑い合って、駿と二人でひとつのことをする。穏やかな空気。楽しい時間。満たされた気持ちがそこにある。



「いただきます」
「いただきます」
ひとりで作るよりもずっと時間はかかったものの、夕食は何とか出来上がり、二人で並んでテーブルに着く。
先に一口食べた駿が顔をしかめた。「なんか、足りない・・・」
味付けをしたのは駿。桃佳も一口食べたが、確かに何か足りない。
「でも、美味しいよ?」
「そうかな」
「そうだよ」
味付けは何か足りない気がしたものの、二人で作った、その事実がそれさえも忘れさせてくれる気がした。
微笑む桃佳を見て、駿も安心したように微笑む。
それから、ふっと表情を曇らせた。
「あのさ」
「なに?」曇った表情の駿に、桃佳も思わず身構える。何か悪いことを言われるような気がした。
「実は、明日なんだけど、月曜日に提出の大事なレポートがあって、ちょっとそれをやらなくちゃいけないんだ」
「うん」
「だから、悪いけど明日は会えない」
ごめん、と駿が申し訳なさそうな顔をするのを見て、桃佳は内心で胸を撫で下ろした。
もっと悪いことを言われるのではないかと、正直思っていたから。自分の中で罪の意識があるから、いつも駿の言葉にびくびくしてしまう桃佳がいる。
「そっか。それなら仕方ないよ。勉強も大事だもんね。それに、また学校が終わったら短い時間でも会えるから」
にこりと笑う桃佳を、駿は物足りなく思う。いつも桃佳はわがままを言ったり、駿を困らせるようなことは言わない。けれど、駿としては時々、わがままを言われたり、困らせてもらいたいような気持ちになるときがある。
少しだけ、「明日も会いたいよ!!レポートなんか諦めて私と一緒にいて欲しい」とか何とか言ってもらいたい気持ちがあった。
それはそれで困ることだとしても。
「ごめんね」
「大丈夫だよ」
お互いの言葉にならない思いが、部屋中に溢れていることを、本当は一番知らなければならない二人が知ることはない。
お互いを思うあまりに言えない言葉たちは、ただ部屋の中を漂うばかりで、後は消えていくだけだった。それさえも気がつかない。互いを気遣い続ける二人。



「じゃあ、俺、そろそろ帰るわ」
「うん。今日はありがとう。気をつけて帰ってね」
桃佳は駿を玄関先で見送る。いつだったか、駿を駅まで見送ったものの、帰りを心配する駿が結局桃佳の家まで彼女をまた送ったということがあってから、玄関先で別れることに決めている。
名残惜しそうに桃佳を見つめていた駿が、その体を引き寄せる。桃佳もその体に腕を回してぎゅっと抱きしめた。
「帰りたくないな・・・」
「うん」

『帰らないで』そう言って欲しいと駿は思う。
『帰らない』そう言ってくれるんじゃないかと桃佳は思う。

けれど二人はその言葉を言わない。
言葉の変わりに、唇を重ね合わせる。
別れを惜しむように、舌を絡めお互いを確かめる。音がするほどの激しいキスをしてから、駿は体を離した。
「じゃ、また月曜に会おうね」
「うん」
重い扉が、二人の間を隔てる。
扉を閉めて、駿はため息をひとつついた。
桃佳のぬくもりがまだ両腕に残っている。
唇にもはっきりと残っている。
桃佳の部屋を後にしながら、どこから来るのか分からない不安な気持ちを抱えていた。
そして早く、一日も早く、桃佳がどこにも行かないように自分という檻の中に閉じ込めてしまいたい、そんな衝動に駆られていた。




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